モレノ・オーナーは「オオタニを残留させたい」と口にはするが
ミナシアンGMの上席であり、球団経営の最高責任者であるアート・モレノ・オーナーの胸の内は見えにくい。
モレノ氏は昨年8月にチームの売却に向けて動き出していた。これに対して買収に強い関心を示していた複数の候補者たちが米経済紙「フォーブス」が見立てたエンゼルスの資産価値22億ドル(約3062億1000万円)を遥かに上回る30億ドル(約4176億1000万円)前後の金額を用意して名乗りを上げていたにもかかわらず、前言を撤回して2023年以降もオーナーにとどまる意向を示した。
これに落胆したエンゼルスファンはおそらく少なくなかっただろう。モレノ氏は保有資産41億ドル(約5712億2000万ドル)を誇る大富豪だが、その割にはチーム編成や補強にまで口を挟み、費用対効果が得られずエンゼルス長期低迷の“元凶”とまで一部の強硬派ファンから揶揄されているほどだ。それでもモレノ氏はニューヨーク・ポスト紙など複数の米メディアに対し「オオタニを残留させたい」と明言しているという。
今オフにFAとなる大谷の新たな契約については、米主要紙「ロサンゼルス・タイムズ」などが北米プロスポーツ界で史上最高額となる12年総額6億ドル(約835億8000万円)とも報じている。モレノ氏の財力ならば爆上がりする大谷に見合うだけの契約額を用意することは可能だろうが、ここでネックとなりそうなのは「ラグジュアリー・タックス(贅沢税)」を支払わない姿勢を長年にわたって頑なに堅持し続けているところだろう。
もちろんエンゼルスにはモレノ体制下において、チームの看板でメジャー最強選手としても名高いトラウトとは2019年から2030年シーズンまで12年総額4億3000万ドル(約599億円)のメジャー史上最高額で契約を延長させた前歴もある。しかしながら肝心要の補強に関して言えば、近年のエンゼルスはことごとく外しまくっており、その裏側では「打者を厚遇しながらも、投手にはあまり関心を示さないモレノオーナーの“カットイン(口出し)”が歴代のGMたちを悩ませている」ともっぱらだ。