サンダスキー事件以上に悪質なジャニー喜多川氏

 この事件は、米国社会において、被害者に深刻なダメージを与えた重大な性犯罪事件として広く知られている。性的虐待がもたらす被害の深刻さと、その報告義務の重要性が米国の大学やスポーツ界に認識される契機となった。

 翻ってジャニー喜多川氏による性的加害事件は、今後、どのように推移していくのだろうか。

 勇気ある岡本カウアン氏や他の数人の被害者が記者会見やインタビューで、ジャニー喜多川氏から受けたと語った個々の性被害の内容は、驚くほどサンダスキーの被害者たちの裁判での証言でのものと似通っている。日本語か英語か、といった違いしかないと言ってもよいくらいだ。

 ただ性的加害の数とその期間においては、ジャニー喜多川氏によるものは、サンダスキーによるものを大きく上回っているようだ。

 また、ジャニー喜多川氏と被害者の関係は日本一の芸能事務所の社長と芸能デビューを夢見る少年の関係であり、その関係を利用し、少年に与える利益の代償として性的加害を受け入れさせた、とされているもの。代償型の性的加害はより悪質で、その罪は重大となるべきものだ。

 今後、例えばさらに複数の被害者が匿名ででもジャニーズ事務所に何らかの具体的な要求をし、さらにジャニーズ事務所を訴えるといった新たな展開がありえるのだろうか。

 ジャニー喜多川氏がすでに他界しているところ、仮に被害者が望んだとしても、日本法にしたがってジャニー喜多川氏の関係者やジャニーズ事務所の法的責任を追及することが果たして可能なのだろうか。

 日本を代表する芸能事務所で起きたと言われているこの重大な性加害問題がどのように推移し、決着するのかを見守りたい。