50%の得票率を割り込んだエルドアン大統領(写真:AP/アフロ)

(土田 陽介:三菱UFJリサーチ&コンサルティング・副主任研究員)

 トルコで4月14日、大統領選と国会議員選のダブル選挙が行われた。特に注目されたのが、現職のレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領が再選するか否か。国営のアナトリア通信によると、開票率98%の段階で、エルドアン大統領の得票率は49.4%にとどまり、当選に必要な50%を割り込んだ模様だ。

 一方で、野党統一候補であり、最大野党である共和人民党(CHP)の党首でもあるケマル・クルチダルオール氏の得票率は、開票率98%の段階で45%。開票率100%でもエルドアン大統領の得票率が50%を超える展開は見込みがたく、5月28日にエルドアン大統領とクルチダルオール氏との間で決選投票が行われる。

 国会議員選(一院制、600議席)に関しては、エルドアン大統領が率いる公正発展党(AKP)など与党連合がリードしている。開票率93%の段階では、与党連合がトルコの農村部を中心に336の議席を獲得、最大野党CHP率いる野党連合はトルコの都市部(アンカラやイスタンブール、イズミル)で勝利したが、175議席の獲得にとどまったようだ。

 大統領選の結果が接戦となっていることや、ロシアによる選挙介入の可能性も取り沙汰されていることなどから、最大野党CHPを中心に、選挙に不正があったと主張する声が強まることは必至である。5月28日に決選投票が行われて勝敗が決した後も、当面の間、選挙結果を巡る混乱が尾を引くことになるはずだ。

 エルドアン氏は2003年に首相に就任して3期を務めた。2014年に大統領に転身した後は、これまでに2期を務めるなど、20年間にわたってトルコを率いてきた。

 この間の経済的な成果を振り返ると、少なくともエルドアン首相期のトルコ経済は良好だったが、大統領に転出した後は一貫して低迷している。