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(土田 陽介:三菱UFJリサーチ&コンサルティング・副主任研究員)
2022年2月24日にロシアがウクライナに侵攻してから1年が経過した。当初、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、短期間のうちに戦争を終わらわせるつもりだったと言われている。
しかし実際は、ウクライナの善戦もあり、戦争は長期化している。同時に、戦争がいつ終わりになるかも、なかなか見定めることができない状況である。
このウクライナとの戦争の予期せぬ長期化を受けて、ロシアの経済は徐々に戦時経済の性格を強めている。それを映し出すのが、財政統計である。
ロシアの2022年通年のロシアの連邦財政収支は▲3.3兆ルーブル(約▲5.9兆円)と、コロナショックに見舞われた2020年(▲4.1兆ルーブル)に次ぐ大幅な赤字となった。
【図表1 ロシアの連邦財政収支(2013~2022年)】
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ロシアはこれまで、基本的に均衡財政を志向してきた。そのため、3.3兆ルーブルという赤字幅は相応に大きい。注目されることは、歳出が大きく増加していることだ。2022年の歳出総額は前年比25.7%増の31.1兆ルーブルと、過去最大の歳出になった。ウクライナとの戦争に伴う軍事費が歳出を圧迫したものと考えられる。
ここで「軍事費が歳出を圧迫したものと考えられる」と控えめな表現をしたことには理由がある。