「安全上の理由から他の形式で開催される」と当局から説明があったものの、ウクライナで戦死した兵士の遺影を胸に多くの家族が行進するのを避けるためとの見方が強い。そんな中、プーチンは戦勝記念日の演説で「ナチズムから人類を救った父、祖父、曾祖父に敬意を表する。われわれもドンバスの住民を守り、われわれの安全を確保する」と強弁した。

プーチン「米欧の目的はわが国の崩壊と破壊を達成することだ」

 プーチンは「米欧のグローバリストやエリートはいまだに自分たちの例外性を口にしている。彼らは人々を互いに対立させ、社会を分裂させ、流血の紛争やクーデターを誘発し、ロシア恐怖症の憎悪をまき散らし、攻撃的なナショナリズムが人間を人間たらしめる家族の伝統的価値観を破壊する」と口撃の矛先をいつものように米欧の自由民主主義に向けた。

「米欧の目的はわが国の崩壊と破壊を達成することだ。第二次世界大戦の結果を覆し、世界的な安全保障と国際法のシステムを最終的に破壊することだ。過度の野心、傲慢さは必然的に悲劇を招く。ウクライナの人々は、クーデターとそれに基づいて誕生した米欧の支配者たちの犯罪的な政権の人質になってしまった。交渉の材料にされてしまった」

 プーチンは「日本の軍国主義との戦いにおける中国の戦士たちの武勲を記憶し、記念する。共通の脅威との闘いの中で得た連帯の経験がかけがえのない遺産であり、強い支柱である。より公正な多極化世界に向けて不可逆的なステップが踏まれている。祖国の運命を左右する戦いは常に国家的で神聖なものだった」と隙間風が吹く中露連携を強調してみせた。

「特別軍事作戦の最前線で戦う人、負傷者を救助している人すべてを誇りに思う。皆さんの戦闘行為に勝る大義はない。わが国の安全保障はあなたにかかっている。われわれの国家と国民の未来はあなたにかかっている。あなたは名誉ある軍務を果たし、ロシアのために戦っている」とプーチンはウクライナ戦争を大祖国戦争にだぶらせ、長期戦への我慢を強いた。