輸入差し止め件数が急増した背景
米国では、1930年関税法第307条により、強制労働(児童労働含む)によって外国で採掘、生産、または製造されたすべての商品の米国への輸入が禁止されている。同条及び関連規則に基づき、国土安全保障省税関・国境取締局 (CBP)長官は、同条該当商品が輸入されている、もしくはその可能性がある場合は、輸入許可を保留するよう命じることができる(違反商品保留命令(Withhold Release Order:WRO))。
同条は近年、積極的に運用される方向にあったが、バイデン政権下でさらに積極的に運用されるようになった。2018会計年度(2017年10月1日から2018年9月30日まで)に同条に基づき差し止められた貨物は6件、21.8万ドル相当であったが、2022会計年度には2398件、4億6600万ドル相当へと急増している(図表1)。
【図表1:強制労働を理由とした米税関輸入差し止め実績】

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最近ではマレーシア企業によるパームオイルや使い捨て手袋、インド企業による衣類などでWROが発せられているが、差止件数・金額が急増した大きな要因は、中国における強制労働に関連する輸入品の差し止めが増えているためである。