カタールに天然ガス販売を懇願したドイツ
そしてエネルギー危機に陥った欧州は、なりふり構わず世界の天然ガス、石油、石炭を買い漁った。ドイツのショルツ政権は、従前は人権問題でさんざん非難していたカタールに、天然ガスを売ってもらうように懇願した。
米国のバイデン政権も、脱炭素に熱心で、政権発足初日にカナダから米中西部を結ぶキーストーンXL石油パイプラインの建設を阻止するなど、環境重視で自国の石油産業を痛めつけるような政策ばかりやっていた。
それがウクライナ戦争によるガソリン価格高騰に手を焼き、人権問題で関係がこじれていたサウジに対して、石油を増産するよう懇願した。
しかしながら、サウジはこれを袖にして、むしろロシアと連携した。すなわち、OPEC(石油輸出国機構)とロシアなどの産油国からなる連合であるOPECプラスは、協調減産によって石油価格を高く維持してきた。
欧州の爆買いでエネルギー危機は世界に拡大した。どの国も化石燃料の調達に奔走し、また光熱費の高騰対策の補助金支給などで大わらわになった。
中国やインドは石炭火力発電所に舵を切り、建設ラッシュとなった。エネルギー価格高騰では日本経済も打撃を受けたが、最もひどい目にあったのは貧しい国々だった。
天然ガスを欧州に買い負けたバングラデシュでは停電に陥った。運輸燃料が買えなくなったスリランカは大統領が国外逃亡した。
