ベトナムのファム・ミン・チン首相(2023年2月9日、写真:ロイター/アフロ)

(川島 博之:ベトナム・ビングループ、Martial Research & Management 主席経済顧問)

 5月19日から21日まで岸田首相の出身地広島でG7サミットが開催される。原爆が世界で初めて投下された都市でのサミットは、「平和への祈り」──そんなキャッチフレーズで語られることになるのだろう。

 だがその水面下はドロドロしている。ここではベトナムで垣間見たサミットの裏側について書きたい。

過去の汚職を引きずるチン首相、囁かれる辞任説

 広島サミットにベトナムの首相が招待されている。ベトナムだけではなくオーストラリア、インド、ブラジル、インドネシアなど8カ国が招待されているが、G20のメンバーになっていないベトナムにとっては晴れがましい舞台と言ってよい。

 日本とベトナムの関係は良好で、特に安倍首相の時代にベトナムを中国に対抗する仲間として位置付けたことが、その後の日越関係に良い影響をもたらしている。

 米中の対立が精鋭化する中で、G7の影の主役は中国である。中国はG7において米国の中国包囲網が一層強化されることをなんとかして防ぎたいと考えている。先にフランスのマクロン大統領を招待して良好な関係を世界に見せつけたのも、その一環と考えてよい。