ワグネルはバフムートで数千人の傭兵を失った

 米シンクタンク、戦争研究所(ISW)は「ロシアがウクライナで敗北することを許容するというナショナリストの言説は、停戦交渉のためにはロシアの体面を保つ必要があるという一部の西側の主張からかけ離れている。ロシアの戦争推進派の中でも最も過激な思想家プリゴジンが一時的な敗北はロシアの利益になると考えている点は注目に値する」と分析する。

 英国における戦略研究の第一人者でイラク戦争の検証メンバーも務めた英キングス・カレッジ・ロンドンのローレンス・フリードマン名誉教授は、最新の有料ブログでこう指摘した。

「昨年7月以来、東部ドネツク州の要衝バフムートがロシアの作戦の中心になっている。街の4分の1はまだウクライナの手中にある。ワグネルはこの戦闘でひどく疲弊してしまった」

 フリードマン氏によると、ワグネルは市街地中心部の攻略に専念し、正規軍は側面から攻める。仮に廃墟となったバフムートにロシア国旗を掲げることができたとしても、東部ドンバス全域を支配するというウラジーミル・プーチン露大統領の最低限の目標を達成するには、これまでに何十ものバフムートを陥落していなければならなかったという。

 ワグネルはバフムートで数千人の傭兵を失い、ウクライナの戦線に投入する囚人も使い果たした。小論文について、フリードマン氏は「ウクライナが反攻に成功した場合にロシアの強硬戦争推進派を補強するためのものだが、プリゴジンは反攻が成功する可能性はかなり高いと見ているようだ」と指摘する。