米カリフォルニア州ロサンゼルス近郊のロナルド・レーガン大統領図書館に到着した台湾の蔡英文総統(2023年4月5日、写真:ロイター/アフロ)

(福島 香織:ジャーナリスト)

 台湾の蔡英文総統は3月29日から米国を経由地にして中南米の友好国グアテマラとベリーズを訪問した。

 このタイミングで中米国のホンジュラスが台湾と断交し、27日、中国と国交を樹立したこと、また、国民党の元総統の馬英九が4月5日の清明節に合わせて墓参りをするために中国本土への“里帰り”を行ったことなどを含め、米中台の間でこれまでにないほど緊張が高まっている。

「米国と共に自由世界を守る」と蔡英文

 そして、その緊張の1つの山場が4月5日だった。蔡英文は中米友好国訪問を終えて帰途の経由地、米国・カリフォルニアに入り、ケビン・マッカーシー下院議長および17人の超党派議員と会談した。

 1979年に米台が断交してから、台湾総統が下院議長に会うのは三度目であり、米国内での台湾総統の会談相手としては最高位の政治人物という意味で、歴史的な会談でもあった。

会談した台湾の蔡英文総統とマッカーシー米下院議長(2023年4月5日、写真:ロイター/アフロ)

 会談は滞りなく行われ、蔡英文とマッカーシーは短い声明を出し、その後、マッカーシーらは記者会見も行った。

 会談でマッカーシーは蔡英文のことをプレジデントと呼び、「米台は双方の人民のために、共同で経済、自由、民主、平和、安定を促進していく方法を探し求めていけると楽観している」と語った。また会談後に短い声明を出し、「今日は超党派の会談であり、共和党と民主党が一致団結して、自由と約束と紐帯を象徴する地で、今日、総統と我々が一緒になってこの紐帯をより堅牢なものにした」と語った。