アート思考とデザイン思考で昆虫食から「脱皮」

「虫秘茶」は丸岡さんと水迫さんという、研究者とデザイナー2人のプロジェクトだが、既成概念や既存のプロセスを疑う丸岡さんの発想は「アート思考」。それを、水迫さんの「デザイン思考」による課題解決力がサポートする、異業種協働の強みが発揮されている。

虫秘茶のブランディングを手がけたデザイナーの水迫さん(左)。丸岡さん(右)からヒアリングを重ね、コンセプトを「見える化」した

 クラファンに成功した「虫秘茶」の次のステップだが、当然、売れ筋商品の量産体制かと思いきや、丸岡さんの構想は、やはり想定外に「アート思考」的だ。

日本全国で「地産」の虫秘茶ブランドをつくる

「虫秘茶にあるのは、“虫と植物の環境の一部を切り取ってお茶にする”という発想です。量産や生産効率を求めず、日本各地の生産者と、地産の虫秘茶ブランドをつくりたい」

 たとえば、青森県のリンゴ葉とマイマイガ、沖縄県のオキナワウラジロガシの葉とキノカワガといった土地固有の虫と植物の組み合わせで、生態系を反映した虫秘茶を生みだす。その糞を生産者から買い取って「虫秘茶」ブランドで販売するという構想だ。

 今はその協働者を全国に求めているところで、すでに数カ所から問合せがあるそうだ。