口の中に広がるソメイヨシノの風味

 糞がお茶になるメカニズムはこうだ。

 芋虫、毛虫(蛾の幼虫)は、食べた葉を消化器官内で発酵させて糞にする。これは、茶の葉を発酵させてつくる紅茶の製法と似たプロセスが、虫の体内で起こっているといえる。

 芋虫、毛虫の糞は、雑食・肉食動物の便のような腐敗由来のニオイはなく、食中毒を引き起こすバクテリアも検出されていない。

 丸岡さんはこの茶を「虫秘茶(ちゅうひちゃ)」と名付けて、商品化を計画している。

試飲会の会場となったNunukalife(京都市左京区)にて。中国茶点前で抽出。三煎ほど美味しくいただけた

 イラガの幼虫の糞から抽出した「虫秘茶」を飲んでみた。イラガというのは蛾の一種である。

 紅茶にも似たほのかな酸味があり、ふんわりと広がるのは、まさしく虫が食べていたソメイヨシノの風味。人工的に香りを添加したフレーバーティーにはない奥深い味わいだ。