「令和のお代替わり」が改修工事着手のきっかけ

 今回の改修工事に着手したきっかけは、令和のお代替わりに伴って、秋篠宮さまが皇太子と同等のお立場である皇嗣(こうし)となられたことだった。

 それによって、対応しなければならない公務が大幅に増えたことから、職員も増員せざるを得ず、事務室および執務室を有する公室棟が手狭になったことで、2020年、ようやく増改築に着手したのである。

 一般論として古い建物を直すには、時に新築するよりも費用がかさむ場合がある。今回の秋篠宮本邸の改修工事は、まさにそれに該当する。

 できるだけ以前の建物で使用されてきた部材を活用しても、不燃性や耐震性を考慮しての工事は根本からやり直さなければならない。材料費の高騰やコロナによる中断もあり、意図せぬ経費がかかった。

 もしも、以前からこまめに少しずつ改修をしていれば、大規模な工事でも、今回のような金額にはならなかったかもしれない。いずれにせよ、劣化に任せて放置していると、いざ改修しようとすれば、かなりの経費を覚悟しなくてはならないということだ。

 完成した本邸は、鉄筋コンクリート造りの地上2階、地下1階建て。延べ床面積は約2972m2と、改修前の約2倍の広さに拡大されている。