プーチンの愛人、元新体操女王カバエワが築いた不動産の帝国

 プーチンが大統領復帰の意志を明らかにしたのは11年9月。プロジェクトの報道では、冬季五輪開催に向け投資が流れ込んでいたロシア随一の保養地ソチでその年の夏から秋にかけ「ロシア最大の物件」が取引された。プール、映画館、噴水のある中庭、屋上ヘリポートを備えた2階建て2600平方メートルのペントハウス。その持ち主とされるのがカバエワだ。

 プーチンは黒海に面したソチの北側に位置する保養地ゲレンジーク付近に“プーチン宮殿”を保有していると反体制派指導者アレクセイ・ナワリヌイ氏(投獄中)が調査ドキュメンタリー映画で指摘した。プーチンはソチとその周辺で1年の大半を過ごしているとされる。「プーチン秘密ファンド」の関係者がプロジェクトに証言している。

「体操選手(カバエワのこと)がやって来て、どのマンションが欲しいか、誰の名義にするか指定しました」

「プーチン秘密ファンド」は在キプロス企業エルミラとその関連会社を使った裏金で、“プーチン宮殿”やソチの別荘などプーチンとその家族、元妻らの不動産に数百万ドルを支出したという。

 カバエワの希望でソチにある4つのマンションが彼女の祖母や長年にわたるプーチンの後援者オレグ・ルドノフ(故人)の名義を使って登記されている。ルドノフはプーチンの祖父が暮らしていた別荘の名義人になったり、サンクトペテルブルクの宮殿広場近くの高価な不動産をプーチンの愛人スヴェトラーナ・クリヴォノギフに譲渡したりしている。