プロジェクトは動かぬ証拠として不動産を洗って、ロシアの富を吸い取る“プーチン皇帝とカバエワ皇后”をあぶり出した。まるで中世に逆戻りしたように「豪華絢爛な王座と大宮殿が彼らの望みだ」とプロジェクトは指摘する。
老いた独裁者は理由なく周囲を疑うように
プーチンのカバエワへの寵愛は若さへの執念なのか。独裁者や怪しげな権力者が国家や国民のおカネを盗み取り、私腹を肥やす泥棒政治は「クレプトクラシー」と呼ばれる。老いた独裁者は理由もなく周囲を疑うようになり、自分が権力を奪われ、力を削がれるのを極端に恐れるようになる。
戦争は歪んだ歴史観を持つプーチンの狂気から始まった。ロシアでは原油や天然ガスなどの資源マネーがばらまかれ、プーチンを頂点とするシステムを「シロビキ」と呼ばれる軍、国防省、情報機関の国粋主義者、メディア、軍需産業、年金生活者が支えている。プーチンはウクライナでの「特別軍事作戦」を続行するため戦時経済に移行した。
プーチンが恐れるのはウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領でも、ジョー・バイデン米大統領でも、北大西洋条約機構(NATO)でもない。ヤヌコビッチを追い落としたような反腐敗市民革命がロシアでも起き、自らの権力欲とカネと色を満たす「クレプトクラシー」というシステムが瓦解してしまうことだろう。