モスクワに建設された世界一大きい「新体操宮殿」(筆者撮影)

 6月18日、モスクワにまた一つ、新名所が誕生した。

 市の中心部に近いルジニキに建てられた、世界一大きい「新体操宮殿」である。

 ルジニキと言えば昨年のサッカーW杯ロシア大会で決勝戦が行なわれた場所として有名だが、ここにはサッカースタジアムだけではなく、様々なスポーツ施設が混在している。

 その中で、光り輝く金色のウェーブ状の屋根とガラス張りの壁をもつ新体操宮殿は、ひときわ異彩を放っている。金色のウェーブは、新体操のリボンがひらひらと舞う様子をモチーフにしたものだ。

 宮殿は4000人収容のアリーナ、複数の練習場や更衣室、トレーニングルームはもちろん、サウナやスパ、バレエスタジオ、レストラン、ホテルまで完備しており、コンサートもできる。

 壁が透けているため、宮殿の周りを歩くと、中で働いている人と何度も目が合った。

 宮殿の正式名称はイリーナ・ヴィネル=ウスマノワ記念新体操宮殿。ヴィネルとは、ロシア人なら、新体操に興味がなくても、誰でも知っている有名人だ。

 ロシア新体操界の生きた伝説で、70歳になった今でも、全ロシア新体操連盟会長かつロシア代表チームのヘッドコーチとして現役で活躍している。

 ロシアはご存知の通り、2000年のシドニー五輪から2016年のリオデジャネイロ五輪まで、個人総合・団体総合とも5連覇中の超強豪国である。