「豪華絢爛な王座と大宮殿が彼らの望み」

 ヤヌコビッチは高価な絵画や彫刻を3日がかりで持ち出した。5階建ての大邸宅にはウクライナ正教の礼拝所まであった。自分や家族を模したアイコンのモザイク壁画があしらわれ、琥珀(こはく)が散りばめられている。愛人の部屋のトイレには金メッキが施されたゴミ箱まで置かれていた。米FOXニュースは15年当時、総額7500万ドル(約100億円)と報じた。

 独裁者は色を好むのか。08年、プーチンがリュドミラ夫人と離婚し、カバエワと再婚すると報じられた。プーチンは「全く真実ではない。社会は政治家の生活を知る権利があると言われるが、物事には限度というものがある」と全面否定し、“スクープ”した日刊紙モスコフスキー・コレスポンデントは発刊停止に追い込まれた。

 カバエワは07~14年、下院議員(与党・統一ロシア)を務め、米国家族によるロシア孤児の国際養子縁組を禁止する法律や、未成年者に対する「非伝統的な性的関係のプロパガンダ」流布を処罰対象にする法律に賛成票を投じた。そのあとロシア最大のメディアコングロマリット、ナショナル・メディア・グループ取締役会トップに就いたプーチンの広告塔でもある。

 プーチンとカバエワの関係は公然の秘密で、複数の子供がいると報じられている。しかしロシア国内では2人の関係はタブーのままだ。

プーチンとカバエワ。2004年11月撮影。2人の関係は公然の秘密となっている(写真:ZAVRAZHIN KONSTANTIN/GAMMA/アフロ)