国会に問題を丸投げした官房長官答弁

 しかし、皇位継承や女性宮家創設に関する議論が政治において、一向に始まりません。2021年12月に政府有識者会議が報告書を出した後、政治が動こうとしなかったのです。

 2月10日の衆院内閣委員会の質疑では、立憲民主党の馬淵澄夫議員による質問に対し、松野博一官房長官が「国会でのご議論を経て、今後、検討されていく」という答弁を繰り返しました。政府として率先して動くことはせず、国会に問題を丸投げしたのです。

 その後、2月26日に岸田首相が自民党大会の総裁演説で、安定的な皇位継承の確保策について「先送りの許されない課題であり、国会における検討を進めていく」と語ったと報じられましたが、経緯を見る限り、本来、政府を代表し閣法というかたちで国会に法案を提出すべき内閣の意志には疑問があると言わざるを得ません。
 
 国会では、これまでのところ、衆参両院議長から、議論の呼び掛けもなされていません。つまり、誰も何もしていないという無責任と不作為が続いてきたのです。

 愛子さまや佳子さまのご結婚は遠い将来の話ではありません。今すぐに、法改正などの具体的な対処を行い、制度的な枠組みを整えておかなければ、安定的な皇位継承者の確保の機会を喪失することになってしまいます。