旧宮家の男系男子と皇族が養子縁組すると・・・

 ①案はいわゆる女性宮家の創設を想定しており、法制化されれば、愛子さまはご結婚後も皇室に留まることができるようになります。
 
 ただし、この案について、報告書に「女性皇族の配偶者や子は皇族の身分を保持しない」旨が記されています。つまり、愛子さまのご結婚相手が旧宮家の男系男子でも、一般人のままで皇族にはなれず、お生まれなった御子も皇族にはなれないとされているのです。

 この問題は②案を組み合わせることによって、一定のレベルで解決されます。②案の規定に基づいて、ご結婚相手の男系男子が、今ある宮家と養子縁組して、皇族の身分を取得していれば、皇族同士の結婚となり、夫婦揃って皇族となります。

 もっとも、ご結婚相手の男系男子を婿養子にお迎えして、愛子さまのご両親たる両陛下の養子にすることは、②案ではできないと考えられます。「皇族には認められていない養子縁組を可能とし」とあり、「皇族」には、天皇陛下は含まれないためです。「皇族」は天皇の親族を指し、天皇ご自身は皇族に含まれないのです。したがって、天皇陛下が養子縁組をすることを、②案は想定していないと解されます。

 さらに、報告書には、「養子となって皇族となられた方は皇位継承資格を持たないこととすることが考えられます」とあります。たとえ、旧宮家の男系男子が皇族になったとしても、その方には、皇位継承権は与えられないと提起され、天皇になる可能性が排除されています。

 旧宮家の男系男子とはいえ、今まで我々と同じ一般人として暮らしてこられた方です。そのような方がいきなり皇位継承権も持つのは理解を得られないとの配慮があるのです。