自身のキャリアを築いてきた均等法世代だが、老後には不安が尽きない(写真:アフロ)

近年、メディアなどで見かける機会が増えているのが「定年女子」という言葉だ。正社員として定年に達する女性が増えており、この4月からは「男女雇用機会均等法」第一世代の大卒女子も60歳を迎える。定年世代を巡っては、自分の居場所が見つけられない「定年難民」や、老後資金が2000万円足りない問題に端を発する「老後難民」が世間を賑わした。男性に伍してキャリアを築いてきた均等法世代の女性たちは定年を目前にした今、何を思うのか。定年女子の本音に迫った。

(森田 聡子:フリーライター・編集者)

総合職として高給を得てきたはずが

「男女雇用機会均等法」の施行(1986年)から37年が経ち、均等法第一世代の大卒女子が定年を迎えている。

 総務省統計局の「労働力調査」(基本集計、2022年度平均結果)によると、2022年時点で正規の職員・従業員(役員を除く)として働く55~65歳の女性は159万人。同じ年代の非正規303万人の半数強だが、2013年の125万人よりも27%以上伸びており、正社員として定年を迎える女性が徐々に増加していることがうかがえる(下のグラフ参照)。


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※配信先のサイトでグラフ表示されない場合は以下をご確認ください(https://jbpress.ismedia.jp/articles/gallery/73953

 均等法第一世代の女性たちには、たびたびインタビューする機会があった。女性活躍社会のシンボルとしてスポットライトを浴びる一方で、フロンティアゆえに企業人としても家庭人としても気苦労が絶えない日々を送ってきたのではないかという印象がある。

 例えば、同期の男性は先輩の後をついて順調に社内キャリアの階段を上がっていくが、彼女たちにはそもそもロールモデルが存在しなかった。同世代の配偶者は子育てにノータッチで、保育時間中に子どもが熱を出した時は同僚の目を気にしながらいつも自分がお迎えに行った・・・。

 そして定年を迎える今も、彼女たちにはまた新たな課題が待ち受けている。そのひとつが「公的年金だけでは2000万円足りない」問題で注目された老後資金だ。総合職として高給を得ていて、将来の年金の支給額も多いはずの均等法世代だが、定年直前になって将来への不安を訴える人は少なくない。