軍隊が即座に対応したデンマーク
それは、1975年にデンマークのコペンハーゲンを出発し、モスクワに向かって巡航に入った時、「高度3000メートルを超えたら爆発する」とのテロ予告が入ったのである。
機はさらに高い高度で巡航中であったが、当時は西ドイツの赤軍が活発に活動していた時期で、急遽、引き返すことになった。
降下中にCAが客室を点検したら、後部ラバトリー(洗面所)で、壁にタバコ大のケースが貼り付けられているのを発見したこともあり、「この爆弾予告は本物かもしれない」と、一刻も早く元の空港に着くべく速度を最大限に上げて向かったものであった。
CAには、いつ爆発しても被害が小さくなるよう、各ドアに大量の毛布や枕を被せるなど、できる限りのことをさせた。地上の支援体制を要請したのは言うまでもない。本当に命が縮まる思いをしたのを、昨日の出来事のように覚えている。
さて、機はコペンハーゲンの国際空港に戻ったのであるが、管制官から着陸後の停止場所を指定され、そこで停止してエンジンを切ったところ、出動した軍隊に取り囲まれ、各ドアにタラップがつけられた。
そして、速やかに全乗客を避難させるとともに、搭載してあった荷物をその場で降ろして、乗客1人ずつ確認のもとの軍隊が荷物を開けたのであった。
機内や貨物室の捜索でも爆発物は発見されず、再び荷物を積み込んで、約2時間後に再びモスクワに離陸することができた。