中部空港の警察に連絡が入ったのは着陸5分前

 爆破予告が本物かどうかの判断に時間がかかるにしても、とりあえず管制官に連絡して離陸許可を出させない、あるいは直接機長に連絡して、離陸を中断することが可能であったはずだ。

 このような事件について、対応マニュアルがなかったとすれば、大問題である。ことは、136名の乗客と6名の乗員の命にかかわる。それを危険な状況にした責任は極めて重い。

 そして、中部空港署に連絡(7時35分頃)が入ったのも、501便が同空港に緊急着陸を管制官に伝えたのは、6時53分以降の間もなくであることを考えると、あまりに遅い。

 ジェット旅客機は降下から空港への進入・着陸だけで20分以上かかる。それなのに、空港の警察に連絡が入ったのが、着陸のわずか5分前というのはいったいどういうことなのか。

 以上、これまでわかっている時系列的な経緯を見ると、関係者の悠長な対応と、着陸後、機長が取った避難行動に大きなギャップを感じるのである。なぜなら脱出シューターによる避難は1秒を争う時のものであり、関係者の動きとはあまりに好対照だからである。

 もっと早く情報が機長に伝えられて、着陸後の支援体制などを航空会社や保安当局が確立していれば、着陸後、誘導路上ではなく、駐機場まで進み、そこでタラップをつけて乗客を脱出させる方法もあったはずである。時間にして誘導路から数秒ないし数十秒もあれば可能なのだ。

 そうしていれば、乗客はけがをすることもなく、長時間の滑走路の閉鎖も必要なく、他の便への影響も最小限に抑えられたであろう。