臨時国会が閉会して会見する岸田首相(2022年12月10日、写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

国葬問題でも説得力ある説明はなかった

 岸田首相は総裁選の際、自分の長所として「聞く力」をあげた。だが「聞く力」などまったくなかった上に、国民を説得する力はさらになかった。

 例えば、安倍晋三元首相の国葬に対して、国民の半分以上が反対を表明していた。だが聞く耳持たぬ姿勢を貫き強行した。

 12月22日に、国葬を検証する有識者ヒアリングの報告書が公表された。岸田首相は、「一定のルールを設けることを目指す」と表明していたが、結局、意見集約はできなかった。その意見の中には、「国民の間に対立、しこりだけが残る負の遺産を生んでしまった」「方針表明が唐突で世論の疑問や反発が高まってしまった」「国会に対する説明と質疑を実施決定前に行うべきだ」などの指摘がなされている。

 だがこの報告書が出されても、肝心の岸田首相からは、なんらの見解も表明されていない。要するに国葬への反対が多かったので、ガス抜きのために有識者ヒアリングなるものが行われただけのことだったのだ。姑息極まりないと言わざるを得ない。