議論となっていた防衛費増額分の一部について、増税で賄われることがほぼ確実となった(防衛費増額の経緯については前回コラムを参照)。もっとも増税の時期は明示されておらず、状況は流動的ともいえる。2027年度時点において追加で必要な税収は1兆円程度とされているが、それ以降については、本当に1兆円で済むのかははっきりしていない。(加谷 珪一:経済評論家)
税制改正で増税が盛り込まれたが・・・
政府は、現状、GDP(国内総生産)の約1%程度を目安に支出されている防衛費を段階的に増やし、2027年度以降は現在の約2倍となる10~11兆円程度にすることを決定した。2023年度から2027年度までの防衛費の総額は43兆円となっており、現状の予算を超える分については、(1)歳出削減、(2)余剰金の活用、(3)防衛力強化資金(仮称)の創設、(4)増税という4つの財源で賄う。
(3)については独立行政法人などが持つ剰余金や国有財産の売却益、税収の上振れ分などを想定しているが、こうした予算の付け替えには限度があり、これだけの巨額支出に対処するには増税するしかないというのが政府の基本的な考え方である。2022年の年末に決定された税制改正大綱では、増税が明記されたものの、具体的な時期は示されていない。状況は流動的だが、政府の基本方針が増税であることに変わりはないようだ。
では、具体的にどのような増税が想定されており、実際に税収を増やすことは可能なのだろうか。