また、北京大会開催中には、ロシアによるウクライナ侵攻が始まった。このため、北京大会を伝えるニュースや情報番組などでは、ロシアとベラルーシ選手団の出場拒否や、ウクライナ選手のメダルラッシュなど、ロシアのウクライナ侵攻と関係した文脈で扱われることが40%以上を占めていたと調査では分析している。
ハードは改善も、社会の変化はまだこれから
再び日本パラスポーツ協会による調査の結果に戻る。協会では障害者を取り巻く社会の変化についても調査している。この調査に関しては、東京大会開催前の2021年7月と、開催1年後の2022年7月に実施した。
結果は、大会の直前と1年後で大きな変化が起きているとは言えないものだった。
わずかではあるが前向きな増加がみられたのは、「障がい者に対する否定的な偏見が減少した」と「障がい者に対する差別的な行動が減少した」だった。
一方で、「テレビやインターネットなどで障がい者をみる機会が増えた」「公共施設・商業施設のバリアフリー化が進んだ」「障がい者の雇用が進んだ」は回答者の割合が減少している。
この3つは、社会の変化を見る上で重要な質問だが、ポジティブな回答が得られなかった。ハード面でのバリアフリーは東京都心などでは改善した部分もあるが、全国的には大会後に変化は感じられないということだろう。