東京大会のテレビ放送時間は過去最多
パラリンピックやパラスポーツの認知度は、メディアで扱われた量が影響を及ぼす。
ヤマハ発動機スポーツ振興財団では、テレビでパラリンピックの中継や関連する放送が行われた時間を2008年から調査している。次の図は、夏季と冬季の過去8大会に関する放送時間の変遷を、時系列に並べたものだ。

東京大会の開催が決定したのは2013年だった。直後の夏季大会にあたる2016年のリオデジャネイロ大会では、開催前、開催中、開催後の放送時間がいずれも大幅に増加した。続く2018年の冬季平昌大会も、冬季としては放送時間が長かった。
そして2021年の東京大会では、開催中の放送時間が過去最多だった。これは、大会の中継時間が最も長かったことが要因だ。初めて中継された競技も多く、ゴールデンタイムに地上波でパラリンピックが生中継されたのも初めてのことだった。
一方で、東京大会では開催後の放送時間が、リオデジャネイロ大会よりも少なくなっている。
これはパラリンピック開催中に、当時の菅義偉首相が衆院を解散するのではないかといった政局報道が増え、情報番組などでパラリンピックが扱われる時間が減少したことが要因の1つではないかと筆者は感じている。
2022年の冬季北京大会では、放送時間が2014年のソチ大会の水準に戻っている。東京大会が終わったことで、特にNHKが大会開催中の放送時間を減らしたことが大きく影響した。