第8部:戦費拡大と石油・ガス産業の苦難/大増税法案制定
露国庫財政は2022年以降大幅赤字予算になります。
ゆえに、露政府は石油・ガス関連増税法案を議会に提出。下院で採択され、上院で承認された増税案は11月22日にプーチン大統領署名をもって発効しました。
ご参考までに、2023年1月から3年間の期限立法で導入される増税案概要は以下の通りです。
●原油輸出関税を算出する係数を大幅に上げ、石油(原油+石油製品)輸出関税を増税する。
●P/Lガス輸出関税を現行30%から(ガス価格千立米当たり$300以上の場合)50%に引き上げる。
●国内ガス価格を引き上げる。
●LNGを生産・輸出する業者に対する企業法人税を34%に引き上げる(従来20%)。
●ヤマルLNG用天然ガス鉱区地下資源採取税ゼロを廃止して、地下資源採取税を課税する。
露ガスプロムの欧州向けパイプライン(P/L)天然ガス輸出はFOB輸出金額の30%が輸出関税ですが、2023年1月1日からはこの輸出関税が50%になります。
欧州ガス市場は露ガスプロムにとり金城湯池でした。しかし、2023年から欧州向けP/Lガス輸出は激減するでしょう。
この場合、輸出関税を上げても輸出量が激減するので、露国庫税収は減少することが予見されます。
すなわち、戦費の財源は今後ますます先細りになることが透けて見えてきます。