第2部:3油種週間油価推移(2021年1月~2022年11月)
最初に2021年1月から2022年11月までの3油種(北海ブレント・米WTI・露ウラル原油)週間油価推移を概観します。
油価は2021年初頭より2022年2月末までは傾向として上昇基調が続きましたが、ロシア軍のウクライナ全面侵攻後、ウラル原油以外は乱高下を経て、2022年6月から下落傾向に入りました。
ロシアの代表的油種ウラル原油は、西シベリア産軽質・スウィート原油(硫黄分0.5%以下)とヴォルガ流域の重質・サワー原油(同1%以上)のブレント原油で、中質・サワー原油です。
ゆえに、ウラル原油は英語ではURALsと複数形のsが付きます。ちなみに、日本が輸入している(いた)ロシア産原油は3種類(S-1ソーコル原油/S-2サハリンブレンド/ESPO原油)のみで、全て軽質・スウィート原油です。
今年11月21~25日の平均油価は北海ブレント$86.4/バレル(前週比▲$5.7/スポット価格)、米WTI $78.7(同▲$5.3)、ウラル原油(黒海沿岸ノヴォロシースク港出荷FOB)$53.2(同▲$8.4)となり、ブレントとウラル原油には約$33の値差があります。
この超安値の露産原油を買い漁っているのがインドで、ロシアは現在、アジア諸国に対し市場価格より3割安い油価でオファーしていると報じられています。

ロシアの2021年国家予算案想定油価(ウラル原油)はバレル$45.3でしたが、実績は$69.0。2022年の国家予算案想定油価はバレル$62.2ですが、今年1~11月度の平均油価は$78.3になりました。
上記のグラフをご覧ください。黒色の縦実線は、ロシア軍がウクライナに全面侵攻した2月24日です。
この日を境として、北海ブレントや米WTI油価は急騰。6月に最高値更新後に下落。11月末の時点で北海ブレントはバレル$85前後で推移、米WTIは$80を割り、油価は下落傾向です。
一方、露ウラル原油の油価はウクライナ侵攻後に下落開始、11月中旬には2022年国家予算想定油価を割りました。
筆者は、昨日4日に開催されたOPEC+協調減産会議後の油価動静に注目しております。