保健省が把握している腎臓疾患のケースは2022年1月に2件、3月に2件、5月に6件、6月に3件、7月に9件、8月に36件、9月に78件と8月以降急増している。

 保健省によれば、患者は大半が1歳から5歳までの幼児で、シロップ服用後に食欲不振、発熱、尿が出にくくなるなど急激に腎臓の機能が低下する腎臓疾患の症状が出ており、死亡例の大半が急性腎臓疾患によるものと分析している。

 さらに保健当局は、腎臓疾患の治療薬をシンガポールやオーストラリアに要請している。他国の力を借りなければならないほど、シロップ薬による被害状況は切迫しているということだろう。

シロップ薬から基準を超える「エチレングリコール」と「ジエチレングリコール」

 そもそも腎臓疾患の原因は何だったのか。

 インドネシアの保健省や国家医薬品食品監督庁(BPOM)などは、患者の血液検査などから甘味のある「エチレングリコール(EG)」と「ジエチレングリコール(DEG)」の成分が検出されたと公表した。

 BPOMによるとEGとDEGはインドネシアで医薬品に使用することは禁止されているのだが、販売されているシロップ薬にはEGとDEGの成分を含むものがあり、この成分が急性腎臓疾患の主な原因との見方が強まっている。