ビンラディン容疑者殺害、オバマ大統領らリアルタイムで作戦を監視

米ホワイトハウスのシチュエーションルーム(緊急対応室)で、軍事作戦を見守るバラク・オバマ大統領ら〔AFPBB News〕

残り2348文字

 ビン=ラディン氏とされる人物の遺体写真は公開されず、またすぐさま「水葬」されたとのこと。

 遺体の争奪戦になったり、墓所が聖地化することを懸念した、などとも伝えられますが、何とも拙速の感は否めず、多く情報が錯綜しています。

 9.11の記憶がいまだ鮮やかな米国内では、ややけばけばしい報道とあいまって、少なくとも一部ではやんやの喝采で、この作戦行動は歓迎された、ように報じられています。

 実際のところはどんなものなのか分かりませんが、日本の中道では米国では左派になるお国柄ですから、大まかなところは想像がつきます。

 とは言いながら「庭には子供の遊具が置かれ、猫もおり、クローゼットには女物と子供服がかけられている」室内が「血だらけ」という報道に、顔をしかめた人も決して少なくないのではないかと思います。

 実際、オバマ大統領は5月5日、2001年9月11日の多発テロの現場であるニューヨーク・世界貿易センタービル跡地「グラウンド・ゼロ」を訪問、犠牲者の遺族らと面会しますが、やや愚かしい期待を持って10歳の少年に「ビン=ラディンをやっつけたけどどう思う?」と感想を求めたところ「もう少しほかにマシなやりようがあったんじゃないのか?」と子供に説教されるシーンがそのまま報道される一幕もあったようです。

サンデルに突っ込みたい「正義ってナンだ?」

 オバマ大統領の「ドラマティック」な演説を、今回ほど聴くに堪えないと思ったことはありませんでした。

 「今夜、私たちは、米国民は『やる』と決めたことは必ずやり通す、ということを再確認することができました。これが米国の歴史のストーリーなのです/愛する家族をアルカイダのテロで亡くした方々にこう言える日がやって来ました。正義は達成された、と」

 オバマ大統領の言葉は少し補足しておく方がいいでしょう。つまり「一度<敵>と認定して「ヤル」と決めたターゲットは必ずしとめる。これが米国の<正義>のストーリーで、自分もまたその<正義>を「達成した」のであると。

 これを如実に語っているのは、先ほどCIA長官の言葉の中でさり気なく出てきたビン=ラディン氏につけられたニックネーム、暗号名とも思えない暗号名「ジェロニモ」です。

 いまさら説明するまでもないかもしれませんが「ジェロニモ」は米国政府に最後まで抵抗した、本来のアメリカ大陸の住民、ネイティブアメリカン「アパッチ族」の戦士です。

 ネイティブアメリカンを「インディアン」(インド人)と呼ぶことからして、すでに大きく間違っているので、ここではそのような呼び方はしません。