原発対応の内閣官房参与が辞意表明

福島第一原子力発電所4号機の使用済み核燃料プール〔AFPBB News

 政府は通常人の年間被曝量を20ミリシーベルト/毎年という値に引き上げました。これは従来の1ミリシーベルト/毎年の一挙に20倍の値ですが、お医者さんたちは「たいしたことない」「すぐに影響は出ない」などと鷹揚に構えています。

 ところが、内閣参与を務めていた小佐古敏荘・東京大学大学院教授(放射線安全学)は「行き当たりばったり」の破綻した政策だとして、参与の職を電撃辞任し、抗議の声明を発しました。

 ポイントはどこにあるか? 1つの注目点は「放射線管理区域」の設定です。

 私も物理学の大学生時代、放射線管理区域に隣接して寝起きの生活をしていましたので実感が湧くのですが、3カ月当たり1.3ミリシーベルトを超すエリアを放射線管理区域とし、この中では18歳以下のものを就労させてはいけないし、飲食などもってのほか、管理者は十分に神経を使わねばなりません。

 さて、この「放射線管理区域」の線量が・・・3カ月で1.3ミリシーベルトですから、年間5.2ミリシーベルトになります。

 白血病の発病を認定する労災では年間5ミリシーベルトで認定が行われるとのことですが、今の値は・・・20ミリシーベルト/毎年!

 実にその4倍の値、飲食厳禁どころか生活全般をここで行い、さらに子育てまでしようという話になっています。

 しかしこういう事情を知らないお医者さんたちは、御用学者というわけでなくても、なぜか安穏としている人が多い。それはなぜでしょうか? 今回はその理由を明らかにしたいと思います。

毒をもって毒を制す:ガンの放射線治療

 放射線の被曝によって、私たちの器官や細胞、あるいはDNAが破壊されると、健康に被害が出ます。

 しかし、この現象を逆手に取る知恵も存在しています。ガンの放射線治療はその一例です。

 原発や原爆での被曝・被爆では、どのような放射線をどれほど浴びたか、ということがはっきりとは分からないケースが多いわけです。

 しかし逆に、どういう放射線をどの程度、どの部位に照射するかを巧妙にコントロールすることで、放射能は私たちの命を救う道具としても使われています。