5月1日、一昨年のノーベル平和賞受賞者でもある米国のバラク・オバマ大統領が各国に衝撃を与える記者会見を行ったのは、すでに読者もよくご存じのところでしょう。
「私は、米国民と世界に対し、米国が軍事作戦を実施し、アルカイダの指導者であり数千人の無実の男性、女性そして子供たちの殺害に責任のあるテロリスト、オサマ・ビン=ラディンを殺害したことを報告します」
本稿を書いている時点で、今回の作戦で殺害されたのがオサマ・ビン=ラディン本人であるのかどうか、筆者は正直なところ確信を持っていません。
が、何にしろ米国政府は2011年5月1日の時点で、今年迎える大統領選挙も念頭に、国民に鮮やかな印象を与える作戦行動とその成功を発表した、そこまでは間違いないと思います。
今回の作戦開始は現地パキスタン時間の5月2日、日本の午前中のこととされます。
容疑者は女性を盾に反撃を試みた??
イスラマバードの北約60キロにあるアボタバードにある、オサマ・ビン=ラディンが潜伏するとされる3階建ての建物に米国のCIA工作員が突入し、同容疑者とされる人物を殺害した模様です。住居に充てられていた2、3階部分で約40分、銃撃戦が続いたとのことですが、武装していたのは側近で、ビン=ラディン氏自身は丸腰のまま殺害されたと報じられています。
経緯はこんなものであった、と報じられました。
米中央情報局(CIA)のレオン・パネッタ長官はオバマ大統領に「“ジェロニモ”を発見」と報告、ビン=ラディン氏(とされる人物?)は「女性を盾に反撃を試みた」と、大変卑劣な人間像に描かれて報道されていますが、まずもってすべてフィクションの臭いがする、と疑ってかかっておくべき情報でしょう。
ビン=ラディン氏(とされる人物?)は「卑劣な行為」の最中に、正義の味方であるCIA工作員によって頭部を打ちぬかれて死亡したとされます。
「ジェロニモを作戦で殺害」との報告がパネッタ長官から入った直後、オバマ大統領はしばしの沈黙の後「我々は彼を仕留めた(We got him)」と呟いた、とされます(毎日新聞の報道による)。
スパイ映画か、さいとう・たかをの劇画「ゴルゴ13」の一幕を見るようなやり取りですが、これは、かけ値なしに現実世界で、現職の米国大統領が命令したテロリスト暗殺の顛末として通常メディアに報じられ、日本でも普通に新聞で報道されている情報にほかなりません。