米国政治は停滞、そして関心は、次の大統領選へ――。11月8日の米中間選挙を境に、米国内は2024年大統領選挙への動きが活発化すると予想されている。今、どんなシナリオが描かれているのか。みずほリサーチ&テクノロジーズの首席エコノミストで、米国の政治・経済に詳しい安井明彦氏に話を聞いた。(聞き手:河合達郎、フリーライター)
バイデンと民主党との「デカップリング」
――今回の米中間選挙の特徴は何でしょうか。
安井明彦・みずほリサーチ&テクノロジーズ首席エコノミスト(以下、安井氏):「主役が定まらない混沌とした選挙」というイメージでとらえています。その理由は2つあります。
1つは、民主党も共和党も、リーダーに求心力がないということです。バイデン氏の支持率は一時期より戻ってきてはいますが、低迷していることに変わりはありません。そのため、共和党としてはバイデン氏の信任投票に持っていきたい。つまり、「バイデンではダメじゃないか」という選挙にしたいということですね。
そうした共和党の思惑も頭にあってのことだと思いますが、バイデン氏自身、今回の選挙ではあまり表に出てきていません。候補者から遊説に呼んでもらえていない。特に、接戦になっている選挙区でその傾向は顕著です。分をわきまえているのか、控え気味ですね。その意味で、民主党から見てもリーダーになりきっていません。
世論調査によると、バイデン氏の支持率よりも、選挙で民主党に投票するという割合の方が高いんです。つまり、「バイデン氏はどうかなと思うけど、選挙は民主党に入れる」という人がそれなりにいるわけです。バイデン氏と民主党との「デカップリング」が起きているわけです。「主役が定まらない混沌とした選挙」というのは、まさにこのことです。