2017年に開店した堀口珈琲の上海店。日本式のコーヒーを提供している

――当たり前のようにコーヒーと珈琲館があるのが上海の日常ということですね。

高橋氏:どこでもいつでも珈琲館でコーヒーを楽しめるという環境や文化が、上海ではできあがっています。ですが、日本のように、毎朝の習慣としてコーヒーを飲んだり、珈琲館で商談を行ったりするという状況になるには、まだ10~20年程度はかかると思います。中国全体で考えると、世代がそっくり入れ替わる60年くらいは必要ではないでしょうか。

――大手アパレルの李寧や中国郵政など、異業種からコーヒー産業に参入する例も増えています。既存の店舗や企業は、どのように対応していくのでしょうか。

高橋氏:残念ながら多くの珈琲館やコーヒービジネスの寿命は短いです。おそらく平均開業期間は3年に満たないと思います。数千店ある上海の店舗も、多くが数年間で入れ替わっているでしょう。

 アレンジドリンクの開発や、店舗イメージをいかに作り上げるかがカギを握ります。このような工夫を重ねれば、成功の可能性があるでしょう。

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 中国におけるコーヒーの年間消費量は一人あたり7.2杯(2019年)で、日本の約500杯と比べるとまだかなり少ないです。ただ前述したように、大都市での消費量が全国平均の30倍以上だとすると、年間200杯ぐらいになっていると思われます。

 高橋氏は、コーヒー文化が現在の日本のように広がるにはもう少し時間がかかるかもしれないとおっしゃっていますが、実際に上海の様子を見ると、その時期はそれほど遠くないのではと感じられました。