支配者に魂を奪われた母親に放置された子どもたち

 赤堀被告の裁判で、検察側の証人として出廷した母親の碇被告は、こう証言している。

「赤堀の話はリアルで魔法にかかってしまうような気がしました。赤堀から毎日頭ごなしに怒られ、罵声を浴び、1日中正座で謝り、精神的に病んでいましたが、相談するところもなく、自分の中でどうしようもありませんでした」

 そして金銭をむしり取られ、子どもを餓死させるという、最悪の不幸に行き着く。母親の碇被告が懲役5年だったのに対して、親族でもない「ママ友」の赤堀被告が懲役15年だったのは、母親に被害者の側面があることを考慮されたからだ。

 安倍元首相の命を奪った山上容疑者の犯したことは、決して許されることではない。ただ、その背景に母親が統一教会にのめり込み、家や土地を売ってまで多額の献金をして家庭が崩壊したという、教団に対する恨みがあった。そして、教団と関係の深い安倍元首相へと恨みの矛先が向かった。山上容疑者からすれば、統一教会と赤堀被告は重なるはずだ。

 ふたつの事件は、母親が家財を投げ出して子どもを顧みなかったことに不幸がある。そして、5歳の翔士郎ちゃんは命を失い、山上容疑者は人の命を奪う凶行に至った。命を保って生き存えたとはいえ、山上容疑者も5歳の翔士郎ちゃんと同じ不幸を背負ったといえる。

 すでに統一教会が生み出す不幸を、日本人の多くが知っている。だからこそ、統一教会と、その関係を疎んじている政治家に厳しい視線が注がれているはずだ。