*写真はイメージ

(作家・ジャーナリスト:青沼 陽一郎)

「嘘を重ね慰謝料名目で収入のすべてを交付させるとともに、質素な生活を送るよう食事量の制限を指示し、監視カメラを設置したという嘘などによって母親の碇被告や家族の生活全般を実質的に支配していた」

 これは、2020年4月に福岡県篠栗町で5歳の男の子が餓死した事件で、十分な食事を与えないよう母親に指示したとして保護責任者遺棄致死などの罪に問われた、いわゆる「ママ友」の赤堀恵美子被告(49)に、懲役15年の判決が言い渡された判決文の一文だ。今月21日に福岡地方裁判所で言い渡された。母親の碇利恵被告(40)には、すでに懲役5年の実刑判決が言い渡されている。

 この判決文の一部を他の言葉に置き換えてみる。

「嘘を重ね寄付名目で収入のすべてを交付させるとともに、質素な生活を送るよう食事量の制限を指示し、“先祖の霊が苦しんでいる”という嘘などによって母親の○○や家族の生活全般を実質的に支配していた」(下線は変換箇所)

 まさに、統一教会(現・世界平和統一家庭連合)の問題点を指摘する一文になる。もっと言えば、安倍晋三元首相を銃撃した山上徹也容疑者(41)の判決文に盛り込まれても、おかしくないような文面だ。

「監視カメラでボスが見張っている」

 親族以外の人物、それも「ママ友」が、保護責任者遺棄致死の罪に問われるのも極めて異例だったこの事件。むしろ、カルトの本質が凝縮されたこの事件こそ、統一教会が問われる悪質性を映し出す鏡といえる。

 まずは、この事件を振り返る。