トランプ氏の私邸「マール・ア・ラーゴ」は実はスパイ天国だった(8月10日撮影、写真:AP/アフロ)

「国家機密感覚」ゼロのトランプ

 米連邦捜査局(FBI)が、継続中の捜査の背景を明らかにするのは極めて異例なことだ。

 捜査対象者がドナルド・トランプ前大統領だったことで、前代未聞の措置を取った。

(そもそも大統領経験者がFBIの家宅捜索を受けること自体前例がない)

 FBIは、「政治的配慮」から捜索令状を請求する際に裁判所に提出した宣誓供述書を一部黒塗りして公表した。

 トランプ氏の周辺にいる「ディープスロート」(内部通報者)から同氏が機密文書を隠匿しているとの通報を受けて、FBIは2度にわたってトランプ氏の私邸「マール・ア・ラーゴ」を家宅捜索した。

 1月に回収した文書184件の一部には、他国と共有できない情報や諜報活動に関する分類記号が付いている。

「このレベルの機密指定文書は通常、国防情報を含む」との記述がある。

 FBIは、8月8日、公文書持ち出しやスパイ防止法違反などの容疑でマール・ア・ラーゴを再捜索し、11組の機密文書を押収した。

 スパイだったら是非とも盗み出したい最高国家機密をトランプ氏は退任後、私邸に運び込み隠し持っていたのだ。

 国家機密を持ち出すこと自体「立派な犯罪」だが、それを意図的にあるいは故意に第三国に漏らせば、これは「国家反逆罪」になる。

 トランプ氏はそのことを全く知らなかったのか。その辺りのことは司法当局の今後の捜査で明らかになってくる。