ハーバード卒、逆玉の輿、「虎の威を借りた男」、ジャレッド・クシュナー前大統領特別顧問(41)*1。
祖父はホロコーストの生き残りで九死に一生を得て、米国の地を踏んだユダヤ人移民。不動産業者だった父親は、違法行為で実刑判決を受けて刑務所に収監された。
厳しい戒律を守っている正統派ユダヤ教徒だ。
才色兼備で億万長者の娘イバンカを仕留め、大統領になった不動産王の義父、ドナルド・トランプ氏の虎の威を借り、30代で権力を思いのままにした男だ。
メディアを避け、その「素顔」はほとんど知られていない。
そのクシュナー氏が8月23日、ホワイトハウスでの4年間を振り返った回顧録を発売した。
*1=ジャレッド・コーリー・クシュナーは、実業家。トランプ大統領の下で4年間、大統領上級顧問を務めた。不動産開発企業クシュナー・カンパニーズ、『ニューヨーク・オブザーバー』紙の元オーナー。2003年にハーバード大学を優等で卒業、2007年にニューヨーク大学経営大学院でMBA、同法科大学院で法務博士号を取得。ロバート・モーゲンソー・ニューヨーク地区検事のインターンを経て、2004年に不動産業の父親が脱税、証人買収、選挙資金の違法献金など計18件の訴因で2年間の実刑判決を受けたため、事業を引き継いだ。
修辞学的に不適切な本のタイトル
タイトルは「Breaking History」。「Making history」とか、「Rewriting history」といった表現はあるが、「Breaking history」なんて聞いたことがない。
隣組の元高校の英語教師J氏は筆者にこう講釈してくれた。
「奇をてらった表現だが、学校で使えば教師は罰点をつける。おそらく『Making History with breaking news』をブレンドしたのだろう」
アマゾンから届いたばかりの本書をパラパラと読み始めた。492ページの大作だ。