ダークウェブは再び活性化しつつある(写真:アフロ)

 楽天やメルカリはもはや、日常の買い物において欠かせない存在だ。そんな便利なマーケットプレイスが、実は、ダークウェブの世界にも存在しているのだという。

 売っているのは、クスリにエロ・グロ、クレジットカード……。私たちが普段使っているパソコンからでも容易にアクセスできてしまうというのだから、なおのこと恐ろしい。

 企業のサイバーセキュリティ対策や事故対応を担う「脅威分析研究所」の代表、高野聖玄氏がネット界に潜む闇の世界を解説する。

*前回記事「ランサムウェアのクラウドサービスまで登場、敷居が下がり始めたサイバー犯罪(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/71413)」から読む

(高野 聖玄、脅威分析研究所代表)

軍事利用が派生したダークウェブ

 ダークウェブとは、匿名化ソフトを使ってしかアクセスできないインターネット上の特定の領域のことです。

 もともとは、アメリカ軍事機関が開発した技術がベースになっていると言われています。一般的なインターネットではあまりに情報が漏れやすく、軍事上の機密情報を扱うのにはふさわしくないとされたため、米海軍の研究所が秘密裏に通信する技術を確立したのが、その原型になっています。

 一見、ダークウェブは闇の世界でアクセスそのものが難しいととらえられがちですが、そうでもありません。私たちが普段使っているGoogle ChromeやSafariといった一般的なブラウザからはアクセスができませんが、実は、匿名化ソフトを使うと簡単にたどり着けてしまう。若い人たちの間では、もはやごく限られた人たちだけが訪れる世界ではなくなってきているとさえ思います。

 その匿名化ソフトの代表が、Tor(トーア)です。

 このブラウザを使うと、アクセス元からアクセス先にたどり着くまでに、ノードと呼ばれるいくつかの中継サーバーを経由します。ノードをいくつか経由するうちに、誰がどこへアクセスしたかという情報がどこにも存在しないという状態になります。つまり誰にも足跡がたどれなくなり、匿名化されるという仕組みです。