バイデン大統領はソウルのホテルで現代自動車グループの鄭義宣会長と会談した(5月22日、写真:AP/アフロ)

「あの業績には驚いた。世界3位と聞いてさらに驚いた」

 最近会った韓国の財閥企業の社長はこう話した。現代自動車の快進撃だ。

 4~6月期には最高益になり、2022年の上期(1~6月)の世界販売台数は3位だったという。

「現代自動車にあの仕打ちはないだろうに」

「いや、米国のジョー・バイデン大統領があそこまで言ったのだから、何か手を打つはずだ」

 韓国の産業界ではこんな話があちこちで聞かれる。

100億ドル投資宣言

「あの仕打ち」というのは、バイデン大統領が2022年8月16日(現地時間)に署名したいわゆるインフレ抑制法のことだ。

 バイデン米大統領がこの日、署名した新法には電気自動車(EV)の普及促進策が盛り込まれた。

 新車を買う消費者に対して最大7500ドル、中古車でも4000ドルの税額控除を実施する。

 問題は対象が北米生産車のみである点だ。現代自動車グループのEVは除外になったのだ。

 3か月前の2022年5月22日、訪韓したバイデン大統領はソウル市内のホテルの庭に姿を現した。隣には現代自動車グループの鄭義宣(チョン・ウィソン=1970年生)会長がいる。

 記者団の前で鄭義宣会長が「ロボティクス、自動運転などの分野で米国に50億ドルを追加投資する」と発表した。