特赦を受けたサムスン電子の李在鎔副会長(8月12日撮影、写真:AP/アフロ)

「直前まで期待して見送りになったのはこれで何度目か」

 李明博(イ・ミョンパク=1941年生)政権時代の高官はこうため息をついた。

 尹錫悦(ユン・ソンニョル=1960年生)政権発足後初の特別赦免は、政治家を除外しサムスンやロッテの総帥などが対象となった。

「大統領の夏休み中に事態が急転回した」

 韓国紙デスクは特赦についてこう話す。尹錫悦大統領は8月1日から7日の日曜日まで夏休みだった。

支持率急落で元大統領除外に

 夏休み前までは、財閥総帥数人と李明博元大統領など保守政権時代の有力政治家や国家情報院長歴任者などの可能性が高いと見られていた。

 さらに文在寅(ムン・ジェイン=1953年生)前大統領の側近の名前も出ていた。

 特赦は大統領固有の権限で、支持率低迷に悩む尹錫悦大統領は、元大統領や財閥総帥を対象とすることで保守支持層を結集させるとの見方だった。

 ところが、特赦対象者を検討している間に、予想もしなかった速度で大統領の支持率が下がってしまった。

 韓国ギャラップが毎週実施している世論調査によると、大統領支持率(大統領職務遂行評価で肯定的な回答)は、6月第5週の43%から毎週下がり続け8月第1週(5日発表)には24%になった。

 支持しない(否定的な回答)は66%になった。

 ちなみに8月12日発表の調査では、支持25%、支持しない66%だった。

 圧倒的多数の国民が支持しないと回答しているのだ。これでは、保守層の結集どころではない。