コロナで乗務機会が激減、技量管理が課題

 あまり表に出ないが、コロナ禍による大幅な減便によって世界のパイロットは、大手、新興の航空会社、それにLCCでも乗務機会が減った。それによる技量の低下が懸念され、安全運航が危うくなっていると言えよう。

 月間のフライトが大幅に減って、離着陸の機会がコロナ前の10分の1程度にまで少なくなるパイロットもいるようだ。JALでも月に日帰りフライトが2回程度、国際線は1回のみ、といった乗務頻度の低下によって、機長、副操縦士ともに離着陸は、月に1~2回ということもあると聞いている。

 IATAも「航空機が空港に近づく際に機体が不安定になる事例が2020年に急増していて、こうした問題はハードランディング(硬着陸)や滑走路を越えて走行する事態のほか、墜落事故にもつながる恐れがある」とコメントしているのである。

 これに対して航空会社や国土交通省は、パイロットの技量維持について、シミュレーター訓練を適宜行うことで補う考えであるが、私に言わせると不十分である。

 路線での実運航では毎回、空港や航路上の天候も変わり、空港への進入方式や使用滑走路も異なるので、実乗務機会が少ないのであれば、コックピットに添乗する「オブザーブ」と呼ばれる慣熟訓練を積極的に行うべきであろう。

パイロットの技量維持にシミュレーター訓練だけでは不十分だ。(イメージ写真:アフロ)

 つまり実際に操縦桿を握らなくてもコックピット内にあるジャンプシート(2席)に座り、実運航経験を維持することによって「運航の勘」が鈍くなることを防ぐのである。

 このオブザーブフライトは航空会社にとって大した経費にもならない。交通費と弁当代、それに宿泊する場合にはホテル代程度で済む。安全運航の最後の砦であるパイロットの技量維持のためには、惜しんではならないコストである。月に1度や2度の離着陸では、運航の安全が危険水域にあると考えるべきだろう。