安全運航に影響与えかねないコロナ禍

 現在は表立ってこの話は出ていない。増資などによる資金調達でJALでは2022年3月末の現預金は4942億円、加えて未使用のコミットメントライン3000億円も維持して、十分な手元流動性を確保している。こうした財務状態から再編論が出ていないのだろう。

 しかし、今後さらなる変異などでコロナ禍の長期化やウクライナ情勢による燃油費の高騰など、不確定要素がある。そのため合併や統合話が再燃しないとは言えないだろう。

 2004年にJALとJAS(日本エアシステム)の経営統合が行われ、それを経験した私の考えを述べると、企業文化が大きく異なる航空会社の合併や統合は安全性に直結するので、慎重であるべきだ、ということだ。

 一例を挙げれば、ANAとJALではコックピット内でのオペレーションや呼称も違う。加えて、ヒューマンエラー防止に必要なCRM(クルー・リソース・マネジメント)のプログラムも異なる。

 そして何よりも会社創立以来の人間関係など、企業文化が違いすぎるのだ。それらを調整してひとつの企業文化にすることは何年もかかる大事業と言っていいだろう。

 したがって、当面の経営状況だけに目が行きすぎて、性急な合併や統合を急ぐと航空事故の原因にもなりかねないと心配するものである。

 コロナ禍が安全運航に影響を与えている現実の問題も指摘しておきたい。