インドネシアのパプア地方で民間人の「大量虐殺(ジェノサイド)」が発生する可能性を米国の機関が指摘していることが分かった。
パプア州をわずか9日間の審議で三分割
パプア地方はインドネシアの東端、ニューギニア島の西半分を占める位置にあり、同島の東半分は独立国であるパプアニューギニアがある。
パプア地方は1998年に崩壊するまでのスハルト大統領による32年間の長期独裁政権時代は「イリアンジャヤ州」となっていたが、その後民主化が実現し同州は「西パプア州」と「パプア州」に分割。さらに今年6月30日には「パプア州」に新たに「南パプア州」「中部パプア州」「中部山岳パプア州」が新設され、細かい行政単位が誕生したばかりである。
実はこの3州新設法案について、インドネシア国会は本会議での審議をわずか9日間で終えて可決していた。同法案は以前に国会に提出されていたが、法律援護協会など10の組織から成るパプア民間組織連盟(SOS)などは民族分離を加速するとして反対を表明、ジョコ・ウィドド大統領に法案取り消しを求めていたのだが、4月6日、国会法律制定機関が法案可決で合意したのだった。
反対がある中、なぜ国会はわずか9日間の本会議での本格審議で3州新設の法案を急いで可決・成立させたのか、様々な憶測や見方が飛び交っている。
そこには政府や治安当局が直面する治安上の問題が横たわっている。パプア問題は今やインドネシアにとって最大の治安問題で、その治安の安定化は喫緊の課題となっているという現実がある。