7月28日、ジョー・バイデン米大統領と、習近平中国国家主席のオンライン会談が実現した。私は中国ウォッチャーなので、中国側の見方をお伝えしたい。
まず習近平主席にとって、7月中のバイデン大統領との電話会談は、絶対的に必要だった。というのも、8月上旬に、北戴河(ほくたいが)会議を控えているからだ。
中国共産党の「長老」たちは習近平の対米姿勢を不安視
習近平総書記は、おそらく今年10月か11月に開く第20回中国共産党大会で、異例の「3期目続投」を目論んでいる。本来なら「2期10年」で引退すべきところを、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領のような半永久政権にしたいのだ。
すでに約400人の党中央委員会の面々、つまり現在の部下たちは、ほぼ完全に押さえている。となれば、あとはウルサ方の第一線を退いた長老たちを説得すれば、続投への支障はなくなる。その長老たちも参加する非公式の重要会議が、河北省北戴河で行われる北戴河会議というわけだ。
長老たちは基本的に、習総書記の「3選」に反対している。彼らが習総書記を攻め立てる主な材料は、経済と外交の問題である。
経済では、3月の政府活動報告で「5.5%前後の年間経済成長目標」を掲げたのに、第2四半期(4月~6月)の成長率は0.4%しかなかった。間違いなくそこを攻撃してくるだろう。
これについて習総書記は7月28日、党中央政治局会議を開いて、今年後半の一応の経済方針を打ち出した。それでも攻め立てられるのは必至だが、コロナやウクライナ危機のせいにして取り繕うことは可能だろう。なぜなら広く世界を見渡しても、いま経済が上向きの国などないからだ。