ナンシー・ペロシ米下院議長(2022年7月21日、写真:AP/アフロ)

(福島 香織:ジャーナリスト)

 米バイデン大統領と中国の習近平国家主席が7月28日にテレビ電話会談を行う。その会談後に、おそらくナンシー・ペロシ下院議長の台湾訪問が実現するか否かが正式に決定するだろう。

 この会談は習近平にとって、秋の党大会前に人事などの調整を詰める非公式の「北戴河会議」直前の米中会談ということで、重大な意味がある。たとえば、バイデンを説得しきれずに、ペロシが台湾訪問を実現することになれば、それこそ習近平のメンツは決定的に失われ、3期目の総書記続投のシナリオはますます危うくなることだろう。それどころか、人々が予想していたよりずっと早くに台湾有事がやってくることになるかもしれない。

これまでになく激怒する中国

 ペロシはもともと4月10日、米国の台湾関係法制定43周年記念日(4月10日)に合わせて下院代表団を率いて台湾を訪問する予定だった。だが、ペロシ自身が新型コロナに感染してしまったので延期されていた。

 それを8月に行うと最初に報じたのは英フィナンシャル・タイムズ紙(7月18日付)だった。米国においては、大統領に万一のことがあれば副大統領が代行し、副大統領に万一のことがあれば下院議長が代行する。つまりペロシは米国の政治序列第3位の人物である。この地位の人物の訪台は、実現すれば1997年のキングリッチ下院議長(当時)以来の25年ぶり、という。

 ペロシは7月21日の定例記者会見で、中国が台湾を恫喝し続けている状況で台湾に対する支持を示すことは極めて重要で、非常に重大な意義がある、と語った。一方で、台湾訪問計画については事実であるかそうでないかは言いたくないとした。ペロシは「安全を考慮して、私自身の外遊計画については実施前には語らない」という。

 4月のペロシ訪台計画のときも中国は強烈に批判していたが、今回は北戴河会議直前、秋の党大会前のタイミングということもあって、中国の激怒っぷりは、これまで以上に激しいものだった。