(PanAsiaNews:大塚智彦)
インドネシアのジャカルタ中央地裁は4月24日、国家反逆罪などに問われていたパプア人ら6人の被告に対し禁固8カ月から9カ月の有罪判決を言い渡した。
被告弁護団によると控訴するかどうかはまだ決めていないというが、有罪判決による服役で刑務所の劣悪な環境に置かれることでコロナウイルスへの感染可能性が高いことを指摘して判決前から「即時釈放」を求めている姿勢には変化はないとしている。
有罪判決を受けたのは6名のパプア人被告で、1人が禁固8カ月で、残る5被告全員が禁固9カ月だった。検察側の求刑は6被告とも禁固1年6カ月だったので、求刑よりは軽い実刑となった。
6人は共に2019年8月28日にジャカルタ中央部の大統領官邸付近で起きたパプア人を中心とする「パプア人差別撤廃」「パプアの独立を問う住民投票の実施」などを求める集会、デモに参加。パプア独立運動の象徴とされる民族旗「モーニング・スター(明けの明星)」を所持、掲げたことなどから反逆罪容疑で逮捕された。
その後検察側が6人を刑法55条や106条の国家の分裂を招く反逆行為、社会や治安の安定を損なう行為に該当するとして起訴、12月の初公判以来の裁判が続いていた。
ペニスサック着用で出廷して抗議
1月13日に開かれた公判では2名の被告がパプア人の民族衣装ともいうべき「コテカ(ペニスサック)」を下半身に着用しただけの姿で出廷した。さらに裸の上半身には白いペンキで「サル」と英語で書いてあった。これはインドネシア人がパプア人を差別する際によく使う「サル」という言葉をあえて大書し、パプア人差別への抗議を示したものだった。