那覇空港にあるレンタカー会社の送迎バスレーン(筆者撮影)

(瀧澤 信秋:ホテル評論家)

 一時はコロナ禍が収束へ向かったかのような雰囲気に包まれ、旅行ムードも高まっていたが、ここにきて一転、再び感染者数が急増するなど予断を許さない状況となっている。“予断を許さぬ”という言い回しをこの2年間で何度使ってきたのかと溜め息も出るが、お盆休みに入ろうとしている中で、ポジティブな気運は下がりつつある。ホテルの予約状況にもキャンセルが出るなど少なからず影響が出ている。

 夏の国内旅行といえば、非日常感、リゾートという点で“沖縄”が筆頭エリアとして挙げられる。沖縄は北海道のような広大なエリアにリゾートホテルが点在するというよりは、一定のエリアに林立している。コロナ禍以降も開業が続いている沖縄のホテルだが、全国的な感染拡大の状況が今後どのような影響を与えるのかについては、この夏休みシーズンも引き続き注視していく必要があるだろう。

コロナ禍で露呈した「レンタカー不足問題」

 沖縄のリゾートホテルにまつわる問題といえば、今年のゴールデンウイークには深刻なトラブルが露呈した。「レンタカー不足」である。沖縄旅行にレンタカーは必須アイテムで、クルマ移動ができない行程は想像しにくい。那覇市中心部の移動は「ゆいレール」や路線バスでカバーできるものの、沖縄のリゾートホテルは北部方面に名だたる施設が集中しており、やはり車でのアクセスが基本となる。

 レンタカー不足は、長引くコロナ禍で観光客が激減したため、レンタカー業者がクルマの維持費を削減して経営難を乗り切ろうと台数を大幅に減らしたことで起きた。筆者も昨年の秋から冬にかけて何度か沖縄にホテル取材で訪れ、すでにレンタカー不足を実感していた。各社のスタッフは口を揃えて「お客さんの少ない今はいいけど、ゴールデンウイークや夏休みはどうなることやら・・・」と話していたが、それが現実のものとなってしまった。

 コロナ禍前は2100台といわれた沖縄のレンタカー台数は、今年のゴールデンウイーク前には600台にまで激減し、150台のキャンセル待ちが出ているような状況であった。ホテルでみられるダイナミックプライシング(繁閑等に応じた料金変動)はレンタカーも同様で、供給不足が深刻となれば料金も上昇する。閑散日で1日3000円~という印象の激安レンタカー店でも4万円というにわかに信じられない数字が並んだ。それでも空きが見つかるのは良いほうで、すぐに「空き無し」の表示に変わるような状況だった。

 レンタカーが借りられないことの影響はホテルにも一気に波及した。宿泊の予約はしたもののレンタカーの確保ができずキャンセルになるケースが続出したのである。

 あるリゾートホテルのスタッフは、「沖縄のホテルはレンタカーありきで成り立っている側面がある」「飛行機やホテルが予約できてもレンタカーが取れずキャンセルになるケースもあった」と話す。那覇市中心部のビジネスホテルのスタッフですら、「ゴールデンウイークは那覇から離れたリゾートホテルばかりでなく、那覇市内でもレンタカーが借りられずにキャンセルが出る市街地ホテルもあった」と内情を打ち明けた。