安倍晋三元首相(写真:AP/アフロ)

(作家・ジャーナリスト:青沼 陽一郎)

 参議院選挙の応援演説中に銃撃されて殺された安倍晋三元首相の国葬を9月27日に日本武道館で行うことが、22日に閣議決定した。首相経験者の国葬は吉田茂元首相以来、2人目となる。

 だが、そんなことをしたら、それこそ「統一教会」(現・世界平和統一家庭連合)のマインドコントロールに利用されるだけだ。

 そもそも、この事件を語るテレビ情報番組のコメンテーターなどは、マインドコントロールがどういうものなのか理解もせず、いい加減なことを言い繕った挙げ句に、フェイク情報を垂れ流している。

マインドコントロールは我々の日常にも潜んでいる

 安倍氏を殺害した山上徹也容疑者(41)が、「母親がある宗教団体にのめり込み、多額の寄付をして家庭が崩壊したことから団体に恨みを持ち、つながりのある安倍氏を襲った」という趣旨の供述をしていることが伝わると、統一教会が会見を開いて、母親が信者であることを公表。この母親が、家や土地を家族に無断で売って1億円近くを統一協会に寄付していることが報じられると、「母親がマインドコントロールにかかっている」と吹聴するメディアが続出していた。中には「洗脳」という言葉まで使う輩までいる。

 まるで、マインドコントロールというものが、催眠術に「かかる」というような言い方で、人間が操り人形のように指示に従う状態になるとでも錯覚しているようだが、そうではない。もっと頻繁に私たちの日常で、ビジネスにも利用されているものだ。

 自民党の安倍派で参院幹事長の要職にある世耕弘成参議院議員が、統一教会の学生組織である「原理研究会」の出身であるような書き込みをツイッターにされたことを、名誉毀損として訴えていることは、以前に書いた。訴状には「原理研や統一教会に対して、反社会的な団体であるとの印象を抱く者が少なくない」ことから、社会的評価を低下させるものであるとしている

 「統一教会は反社的」自ら起こした訴訟でそう論じていた世耕参議院議員(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/71020

 その世耕氏が理事長を務める近畿大学でも学生が統一教会系の団体に勧誘された事例を確認しているという。「反社会的な団体」から学生を守れないというのも糾弾に値するが、ここでもマインドコントロールのテクニックが用いられている。