(市岡 繁男:相場研究家)
約40年間続いた金利低下トレンドは終焉へ
米国の金利上昇が世界経済にどんな影響を及ぼすのか危惧されています。今回は過去のデータから「金利のサイクル」について見ていきたいと思います。
アングロサクソンと呼ばれる英国、米国の長期金利について、1830年までは英国、以降は米国の動向を示したのが図1のグラフです。これによると、長期金利は約60年ごとにピークをつけており、いずれも戦争や動乱が関係しています。
フランス革命~ナポレオン戦争時の1797年、米国の南北戦争が勃発した1861年、第一次大戦終了直後の1920年、イラン革命~第二次オイルショック直後の1981年にいずれもピークとなっています。60年周期といえば十干十二支、あるいは50~60年周期とされるコンドラチェフ波動といわれる景気サイクルが思い浮かびますが、こうしたサイクルは金利にもあったと言えるかもしれません。
興味深いのは、金利の上昇期間と後に続く下落期間の長さがほぼ一致していることです(日柄対等)。具体的には、1824年から1861年までの37年間は金利が上昇トレンドにあり、続く1861年から1899年までの38年間は金利が低下しました。次の1899年から1920年の21年間は金利が上昇し、続く1920年から真珠湾攻撃が発生した1941年までの21年間は金利が低下といった具合です。
今回はどうでしょうか。1941年から1981年まで40年間は金利が上昇し、そこから昨年までの40年間は金利が低下基調にありました。
それが転換点を迎えたのが今年2月です。ロシアによるウクライナ侵攻が勃発し、米金利はそれまでのトレンドラインを一気に上抜けました。長らく続いた金利低下局面は終焉を迎えたのです。